吐出を主訴とした食道憩室切除手術の実施例紹介

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(下部に手術時の画像があります、苦手な方はご遠慮ください)

犬や猫で食道の手術を必要とする例はあまり多くはありません。
私たち獣医師仲間同士で、”滅多にない手術も続く時はだいたい3例ぐらい続くね”とよく話をしますが、昨年例に漏れずたまたま3例食道の手術を実施しました。
いずれも術後の合併症は発生せず順調に経過しておりますが、その内の1例である食道憩室の切除手術から1年が経過し、定期検査を受けに来院いただきましたのでその内容について紹介させて頂きます。

平成28年1月12日に非常に痩せている保護犬(年齢は不明)のミニチュアダックスフンドが、吐出することを主訴に来院されました。その吐出物の匂いについて確認したところ”非常に臭くねっとりとしている”ということで、食道憩室の疑いが浮上し、レントゲン検査により食道部分の確認を行いました。食道拡張症の場合も吐出は起こりますが、食道憩室のようにひどく臭いということはありません。通常の吐出は、食べたものが胃まで到達せずに食道内である程度の時間留まり、その後出てくるので、吐物は飲み込んだ食べ物そのものであるためにあまり臭くないのです。そのために匂いも鑑別診断の重要な項目となり得るのです。レントゲン検査で前胸部の食道が拡張しているのが確認できました。

精密検査を希望され、日本小動物医療センターでCT検査を実施したところ血管輪の異常などは認められず、白石動物病院で切除手術を実施することになりました。


緑の部分が食道 中央が拡大

術前は痩せており4,8kgであった体重は1年後6,8kgにまで順調に増えていました。


手術後3ヶ月胃チューブを抜去する時点

1年後ふっくらになりました


開胸しこれより切除を実施

半導体レーザーにより切除した食道

食道の外科は術後のトラブルが発生しやすく、外科手術を受け入れてくれない動物病院もあります。食道のトラブルでお悩みであれば一度当院にご相談ください。

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