FIP専門診療

担当獣医師

鈴木 佑果

  獣医師(日本、米国、豪州)

 

FIPとは

猫の伝染性腹膜炎(Feline Infectious Peritonitis, FIP)は猫コロナウイルス(FCoV)によって引き起こされる疾患です。

FCoVは腸炎の原因になる猫腸コロナウイルス(FECV)とFIPを引き起こすFIPウイルス(FIPV)に分けられます。飼育猫の40%が猫腸コロナウイルスに感染しているといわれており、ほとんどの場合は下痢などの一過性の消化器症状で治まります。しかし、人間のコロナウイルス同様、FCoVも変異することが可能で、猫腸コロナウイルスが体内でFIPウイルスに変異することによって、FIPが発症すると言われています。

症状は幅広く、腹水、胸水の貯留、腎臓や腸管などの臓器での腫瘤形成、神経症状やぶどう膜炎などの眼疾患を引き起こします。

一度FIPを発症してしまうと治療することが困難で、近年までは “致死率100%の不治の病” と言われていました。

また、日本だけでなく世界中で報告されており、猫の死因全体の0.3~1.4%を占めていると推測されています。

 

治療薬について

2019年に報告された論文以降、GS-441524 という抗ウイルス薬によってFIPが完治できると注目されています。Xtraphconn(通称MUTIAN)やCFNなどの中国製の非正規薬が流通している中、当院ではBOVA Specials UK社から作られている経口剤のGS-441524,注射薬のレムデシビル(GS-441524のプロドラッグ)の輸入を始めました。

これらの薬は既にイギリスとオーストラリアで動物用医薬品として販売されており、具体的な薬の用量や投薬期間、治療成績を報告した論文も発表されています。

当院では動物用のGS-441524経口剤およびレムデシビル注射薬を用いた国際猫医学会(ISFM)のガイドラインに則ったFIP治療を行っております。

治療期間は最低12週間、レムデシビル注射薬であれば11回、GS-441524経口剤であれば112回投与を行います。

お薬の費用は症状の重症度により大きく幅がありますが、体重3kgの場合、レムデシビル注射薬は1回当たり約2-4万円、GS-441524経口剤12週間で約3060万となっております。

日本ではまだ認可されていない薬になりますが、海外では実際にFIPの治療のために処方されており効果が証明されている点や、他の流通しているFIP治療薬に比べて安価である点からもBOVA社のレムデシビルとGS-441524を使用して、FIPで苦しんでいるネコちゃんを助けていきたいと考えております。

ご不明な点がございましたらお気軽にお問い合わせください。

 

診察をご希望の場合

現在、治療薬の在庫は十分に確保しておりますが、治療状況や輸入のタイミングによってはすぐにお薬をお渡しできない場合もあります。診察をご希望の場合は、治療の有無に関わらず、事前にお問い合わせいただくと安心かと思います。

「FIPと診断された」「FIPかもしれない」など、少しでも気になることがありましたら、早めに一度ご相談ください。