獣医循環器学会で発表しました

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 先日、獣医循環器学会で「動脈血栓塞栓症発症後にリバーロキサバンとクロピドグレルの併用投与により長期管理が可能であった猫の1例」という発表を行ってきました。

 猫の心筋症では、病態が進行すると動脈血栓塞栓症が発生することがよく知られています。血栓症を発症した場合の生存率は低く(1年生存率:約5%)、予後は非常に悪いことが知られています。また、血栓症の治療が奏功し、血栓が溶解した場合でも、その後の再発率は高く約90%の症例で再発したとの報告もあります。現在、一般的に再発予防の抗血栓治療としては、抗血小板薬または抗凝固薬のいずれかの投与が実施されています。

 血小板薬としてよく用いられているものとしてクロピドグレルがあり、これは、P2Y12受容体に非可逆的に結合することで、ADPによる血小板凝集を用量依存性に抑制する薬剤であります。また、抗凝固薬としては、ヘパリンやリバーロキサバンが用いられています。リバーロキサバンは、アンチトロンビンを介して作用を示すヘパリンと違い、第Xa因子を選択的に直接阻害する、近年注目されている血液凝固阻害薬であります。今回、発表した症例では、このクロピドグレルとリバーロキサバンを併用することで、副作用もなく長期の抗血栓の予防管理が可能でありました。白石動物病院では、この新しい凝固剤を取り入れ血栓予防に努めております。

 また、猫の心筋症での血栓の発生リスクとしては、心エコーによる心房の拡大や左心耳血流の低下、もやもやエコー(Spontaneous. Echo Contrast)の存在などが知られていましたが、本症例では、抹消血のトロンビンアンチトロンビン複合体(TAT)をモニタリングすることで、血栓症の発生を予測することが可能であり、TATは血栓症の予防モニタリングをして有用であると考えられました。

 猫には心雑音がなくても心筋症である症例も多く存在します。高齢の猫ちゃんでは、潜在的に心筋症に罹患している子もいるかも知れません。一度、心臓のエコー検査を受けてみることをお勧めします。また、心筋症の症例では、血栓症に陥る症例も存在します。そういう症例に対しては定期的な心エコー検査や血液検査をお勧めしています。また、心臓病を抱えている飼い主様の不安を取り除くための相談も随意時受け付けています。お気軽にご相談ください。

(山田修作)

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